インポスター症候群の「インポスター」とは「Imposter/Impostor」のことで「詐欺師」「偽物」という意味を持っています。この単語に「症候群」をつけることで「自分が周囲の人間を騙している詐欺師や偽物のような心境に陥ってしまう」状態のことを言います。

といっても実際に周囲の人達を欺いているわけではなく、そう思いこんでしまうのがこの症候群の厄介なところです。具体的にはこのタイプのひとには実績や能力があるにもかかわらず自分に自信を持つことができず、その実績や評価が自分の能力に見合わないものだと思いこんでしまう傾向が見られます。本当は自分の能力で成し遂げたのではなく、周囲の協力や運のお陰で実現したのだと思い込んでしまうのです。「わたしの実績や評価は本物ではない、みんなだまされているんだ」といった感覚に陥ってしまうわけです。

簡単に言えば自己の過小評価、自己肯定感が低い状態です。そのため、何事においても自分に自信を持つことができずにネガティブな心境で向き合ってしまう傾向が見られます。ではどうしてこのような心境に陥ってしまうのでしょうか?

原因に関しては人によってさまざまなケースが考えられます。例えば何かをうまく成し遂げた時に周囲から妬みや誹謗中傷を浴びる機会が多かったケース。あるいは結果を出せば出すほど周囲から孤立して孤独感を味わわされたケース、逆に失敗したときに周囲から批判されたりからかわれたりしてつらい思いをしたケース。こうした経験が自己肯定感を下げてしまい、自分の能力を信じられず、せっかく結果を出しても自分の能力によって成し遂げたものではないと思いこんでしまう思考回路が働くのです。ですから対処法も原因に合わせて適切なものを選ぶ必要があります。